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April 17, 2020

配偶者居住権は二次相続で節税できるって本当?

住宅

2020年4月1日より施行される「配偶者居住権」をご存じですか?これは、住宅の所有者が亡くなってしまった後も、配偶者が引き続き同じ家に住み続けることを可能にする権利です。今までにはなかった権利であり、うまく使うことができれば配偶者以外の相続人にとって節税となる可能性があります。今回はこの配偶者居住権について詳しくご紹介して参ります。

 

1.2020年4月施行「配偶者居住権」とは?

配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として、終身または一定期間、配偶者に建物の使用を認めることを内容とする法定の権利。

配偶者居住権はこのように定義されています。つまりは所有者の死後、同居していた配偶者に限ってそのまま暮らし続けることができるという権利です。現行制度では相続の問題から配偶者が同じ家に住み続けることが出来ないケースが生じていたため、新しい制度ができました。

 1-1.配偶者居住権はいつから認められるのか

配偶者居住権が認められるのは2020年4月1日の条文改正が施行される日です。相続開始の日となりますので、2020年3月31日以前に亡くなった相続人から相続をすることは残念ながらできません。また、すでに遺言書を用意している方で配偶者居住権を設定したければ、再度書き直しをしなければいけませんので、注意が必要です。

 1-2.配偶者の暮らしを守る制度

実際どのような権利なのか、簡単な例を挙げてみてみましょう。ある男性は土地を含めた建物の評価額が5,000万円の家に妻と2人暮らしをし、現金貯金が1,000万円あり、遺産の総額は6,000万円です。結婚をして別の家に住んでいる娘が1人いるとします。男性が亡くなったとき、妻と娘で遺産を分けることになりますが、親子関係が良好で娘が「自宅はお母さんが相続すればいいよ。私は現金でいいから」と譲ってくれればそのまま住み続けることができます。この場合住み続けることができ、問題がないように見えますが、現金がなく生活ができず結局家を売るという可能性があります。

また、関係が良好でない場合や、娘が相続分満額を希望するような場合には、民法に定められた法定相続分である1/2、つまりは3,000万円ずつで分けることになります。現金は500万円しかありませんので、妻は娘に渡すために住み慣れた家を売らなればなりません。どちらにせよ、遺産相続で多少なりとも揉める可能性があります。

 1-3.自宅の権利を相続しなくても住み続けることができる

そこで登場するのが配偶者居住権です。自宅である建物に関する権利を居住権と所有権の2つに分けて、それぞれ別の人物が相続することができるため、妻が居住権を、娘が所有権を相続することで、妻は自宅の所有権を相続しなくても以前からその自宅で暮らしていれば引き続き住むことができるというわけです。

所有権を娘に譲るかわりに、自宅以外に当面の生活費となる預貯金も相続することができるという配偶者が優遇される制度となっています。娘の所有権は負担付き所有権と呼ばれます。

上記イラストでは、分かりやすくするために所有権と居住権を同額にしていますが評価額は居住権の方が低く評価されることが多いため現金を多く受け取ることができます。こちらの評価は後程詳しくご紹介いたします。

 1-4.似ているけど違う「配偶者短期居住権」

配偶者居住権と共に相続法改正で創設された権利の配偶者短期居住権は、被相続人の建物に配偶者が無償で暮らしていた場合には、最低でも6カ月は無償で住み続けることができる権利です。遺産分割中に住み続けることや、遺産分割で家の所有権や配偶者居住権が取得できなかった場合でも、6カ月は暮らすことができるためその間に住まいを探すこともできます。

 

2.配偶者居住権を取得する方法

この配偶者居住権は、所有者が亡くなって自動的に生じる権利ではありません。取得するためには。いくつかのポイントがありますので、確認をしておきましょう。

 2-1.配偶者居住権取得の要件に当てはまっているか

まずは、被相続人所有の建物に配偶者が相続開始の時(亡くなった時)に居住していることが大前提です。配偶者であっても別居をしていた場合には対象となりません。

また、相続人による遺産分割競技で決定、被相続人の遺言書のどれかが必要となります。

 2-2.配偶者居住権を取得したら登記しておく

配偶者居住権の大きなポイントとなりますが、権利を取得しても不動産登記簿謄本に登記をしなければ権利の効力が発生しません。遺言書や遺産分割協議で、配偶者居住権を取得することが決定していたとしても、登記せずにそのままにしておくと新しい所有者が売却をしてしまう可能性もあります。配偶者とは異なる相続人が被相続人の死後、すぐに登記をしてしまう可能性もゼロではありません。そんな時には、生前に死因贈与契約で仮登記をしておくことができます。また、居住権の登記は配偶者と建物所有者の共同申請となります。

 2-3.取得した配偶者居住権の期間

配偶者短期居住権とは異なり、配偶者居住権は原則、終身の間つまりは亡くなるまで居住することができます。ただし、遺言書や遺産分割協議の際に別の定めををした場合には配偶者居住権の効力を一定の期間に制限されることはあります。

 

3.相続税評価の方法

配偶者居住権の評価は、固定資産税評価額をベースに配偶者の平均余命や建物の耐用年数等を考慮して、一定の計算式に基づき算出されます。

存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率は、2020年4月より3%となりその後3年毎に見直しがされます。また、建物を使用するということはその建物の土地も利用することとなりますので土地に対する評価も必要となります。

とても専門的な知識と計算が必要であり、また遺産分割時にはとても重要となるために不動産鑑定士や税理士の方へ評価を求めるようにしましょう。誤った評価額はその後の相続手続きに支障をきたす可能性があります。

 

4.配偶者居住権は節税になるのか?

配偶者居住権は配偶者が亡くなると消滅し、相続することはできません。消滅後は負担付き所有権を相続していた方が不動産の権利を全て所有することになりますので、通常の所有権の形へ戻ります。つまり、配偶者居住権の分は相続税がかからずに所有できるというわけです。これにより配偶者以外の相続人は節税ができます。配偶者にとっての節税ではなく、その他の相続人にとって節税になるということです。

 4-1.居住権を活用した節税の例

冒頭の5,000万円の住宅を相続するケースを例に相続税が節税になるかどうかをみてみましょう。実際は現金+不動産で相続税が算出されますが、今回は配偶者居住権についてのお話となりますので、分かりやすく不動産のみを例にあげていきます。

配偶者居住権を使用せずに、そのまま被相続人所有の自宅を配偶者が相続した場合には、相続税配偶者控除により相続税がかからないケースが多いです。今回も自宅は5,000万円なので相続税はかからずに所有権を取得できます。次に、配偶者は亡くなった時には娘に自宅の所有権が相続されますが、ここでは5,000万円すべてに相続税が発生します。

続いて、配偶者居住権を使用した場合では、1次相続で発生する相続税は娘のみ支払う必要がありますが、配偶者は相続税配偶者控除によりかかりません。そして、配偶者が亡くなった際には自宅の居住権は消滅し、娘の負担付き所有権が一般的な所有権へと変わります。ここで、相続税は発生しません。ということは、この配偶者居住権を使用した場合、娘が相続税を払うのは1次相続の時のみとなりますので、娘にとっては節税となるというわけです。

 

5.配偶者居住権のメリット・デメリット

ここまで配偶者居住権の基本的な仕組みをご紹介して参りました。配偶者のその後の生活を助けるために新しくできた制度であるとご理解頂けたかと思いますが、最後に知っておくべきメリット・デメリットについてもお話をしていきたいと思います。

 5-1.メリット

大きなメリットは、現在暮らしている家にそのまま住み続けることができるということです。また、これよって預金の相続をすることも可能で、被相続人の死後も配偶者は暮らしの不安を軽減することができます。また、他の相続人にとっては節税となる可能性があります。

 5-2.デメリット

配偶者居住権はあくまでも住むための権利となりますので、売却や譲渡をすることはできません。介護が必要となったり、1人で暮らすことが大変になった時に老人ホームに入るから売却するということはできないということです。問題となるのはこの配偶者居住権が原則亡くなるまで有効となるために、配偶者が要介護で介護施設に入所し、所有者が売却したとしても、第三者が居住することはできません。

また、配偶者居住権を利用できるのは法律上の配偶者のみとなりますので、内縁関係にある方は対象外となります。これから施行され対応は変わってくる可能性もありますが、容易なことではないと言えます。

6.まとめ

2020年4月から施行された新しい権利の配偶者居住権は、配偶者の暮らしを守る権利です。そして、他の相続人にとっては節税となる可能性も大いにあります。遺産分割協議等の話し合いによって穏便に決めることができればそれが一番ですが、家族によって関係性は様々です。不安に感じることがあれば先に準備をしておくこともできますので、弁護士や税理士の方へ依頼をすることをお勧めします。また、老後はまだまだ先だけど家族のために話を聞いておきたいという方は是非当協会にご相談下さい。これからの人生設計に加えて、亡くなった後もご家族を守る方法についてお話させていただきます。

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